藤沢市での法人破産の方法|タイミング・流れ・費用について
会社経営者にとっては残念なことですが、会社が経営破綻しそうな状態になったときには、会社をたたむことも選択肢の一つにしなければなりません。
会社をたたむタイミングを間違えた結果、被害が広がってしまい、自分や家族の人生、さらには長年勤めてくれた従業員やその家族、はてはお客様にまで大きな悪影響が出てしまうこともあるのです。
ここでは経営が怪しくなってきたと感じた場合に、会社をたたむ判断をするタイミングや、会社をたたむ流れ、会社をたたむための費用などを解説します。
会社を経営している人にとっては辛いことかもしれませんが、万が一のときのためにお読みいただきたいと思います。
このコラムの目次
1.いつ破産の手続きをするべきか?
破産を考えるタイミングは意外と難しく、見誤って大失敗する人が後を絶ちません。
「今月の売掛金が回収できれば…」「来月の入金があれば…」
などと、将来得られる予定のお金をアテにして、ずるずると自転車操業を続けた結果、どんどん悪い方に転がってしまったという例もあります。
あるいは「今ここにまとまったお金があれば…」と考えて、親類縁者を訪ね歩いてお金の無心を繰り返したり、消費者金融や闇金融業者などからお金を借りたりして、事態を悪化させる人もいるようです。
自分で事業をたたむという辛い選択をするのは非常に難しいのですが、ここでは会社をたたむ、つまり会社を倒産(破産)させる手続きをするべきタイミングを考えていきます。
(1) 自分で決めたラインを超えたら
経営者は自らの引き際を決めておくべきです。
「借金が1,000万円を超えたら」「赤字が◯期継続したら」など、具体的に決めておきましょう。
なお、こういったラインを決めるのは、経営が怪しくなってからではいけません。
経営に問題がないうちに決めておかなければ、冷静な判断ができないからです。
経営が順調なときにこそ、撤退するラインを決めておいて下さい。
(2) 会社を倒産させる資金が残っている間に
意外と甘く見ている人が多いようですが、会社を倒産させるには意外とお金がかかります。
本当に資金がなくなってから会社をたたもうとすると、そのための費用がないという事態に陥りかねません。なんとか回収した売掛金を倒産費用にあてられる人はまだ幸せです。
資金が足りない人は、生命保険を解約した解約返戻金を使ったり、定期預金を解約したり、会社の資産を処分したりして倒産費用を捻出しているようです。
しかし、それらは会社を経営する間に失った人もいます。
そういった人は倒産させる費用が捻出できず、大変な苦労を強いられることも少なくありません。
できれば無理なく倒産できるような費用があるうちに、会社をたたむ手続きを開始して下さい。
どの程度の費用が必要なのかは後述いたします。
2.会社破産の流れ
費用について学ぶ前に、会社を破産させるときの流れを理解しておきましょう。
会社の破産は手続きが複雑なので、多くの人は弁護士に依頼します。
ここでは弁護士に依頼したときの流れをご紹介します。
会社の規模にもよりますが、以下の事柄を半年から、長い場合には1年以上もかけて行います。
(1) 弁護士に相談し、依頼する
債務整理、特に法人破産に詳しい弁護士に破産を考えている旨を相談します。
相談や依頼にあたっては会社の資産状況がわかる資料などがあるとスムーズになるので、予め用意しておくといいでしょう。
(2) 弁護士が債権者に受任通知を出す
弁護士が各債権者に対し、破産案件を受任した通知を出します。
これによって弁護士が債権者との窓口になるので、債権者からの催促などが経営者本人ではなく弁護士に行くようになります。
債権者が力づくで商品などを引き上げる危険性がある場合は、受任通知を出すと商品などが奪われることがあるので、敢えて受任通知をしないで手続きを進めることもあります。
(3) 会社財産等の保全
会社の財産が失われないように、弁護士が会社の財産を保全します。
そうでないと破産を予定していることを知った債権者が押し寄せて、借金のカタに会社の財産を差し押さえたり持ち去ったりするおそれがあるからです。
弁護士は会社の印鑑や各種通帳や手形、財務関係の書類や証券、契約書等を自己の管理下におきます。
(4) 書類の準備や事情聴取
裁判所に破産の申し立てをするための書類を準備します。
会社の資産や負債を整理したり、会計帳簿を確かめたり、税金や社会保険料の支払状況などをチェックしたりして、裁判所に破産を申し立てるための書類の準備を進めていきます。
状況に応じて弁護士から事情を聞かれるので、経営者は自分の会社の状況が分かる書類などを用意しておく必要があります。
(5) 裁判所へ破産申立
書類の準備が整ったら、会社の所在地を管轄する地方裁判所に提出し、破産の申し立てを行います。
(6) 破産開始決定・破産管財人選任
申し立てを受けた裁判所が、法律的に破産手続開始の要件を満たしているかを確認します。
問題がなければ破産手続開始の決定がされ、会社の財産は「破産管財人」の管理下に置かれます。
(7) 破産管財人との打合せ
経営者が依頼した弁護士と、破産管財人が適宜打ち合わせを行い、会社の財産をどのような方針でどのように処理すべきかの検討が行われます。
破産管財人は定まった内容に基づいて、会社の財産を処分してお金に換えていきます。
(8) 債権者集会の開催
破産手続開始の決定から、通常は約3ヶ月後に債権者集会を開催します。
債権者集会では、破産管財人から債権者に対して倒産した会社の財産の処分や換価の状況などについて報告があり、それに基づいて裁判所が必要に応じた決定を行います。
(9) 債権者への配当
破産管財人の換価処分等が終わり、各債権者に清算するためのお金が確保できたら、それを配当という形で分配します。
(10) 破産手続の終了
破産手続が終わって、会社の法人格がすべて失われます。
3.法人破産にはどのくらいの費用がかかるのか?
さて、法人破産には意外とお金がかかると述べましたが、具体的にどの程度かかるのでしょうか?
会社の規模や財務状況、管轄する裁判所などによって大きく異なりますが、一例として東京地方裁判所に納める費用や弁護士費用の相場をご紹介します。
(1) 東京地方裁判所に納める費用
法人破産の場合は以下の費用を納めることになっています。
- 郵券(切手代)…4,100円
- 申立手数料…1,000円
- 官報広告費…13,197円
- 引継予納金(管財人の費用)…負債総額によって以下のように変動
負債総額 | 引継予納金の額 |
---|---|
5,000万円未満 | 70万円 |
5,000万円~1億円未満 | 100万円 |
1億円~5億円未満 | 200万円 |
5億円~10億円未満 | 300万円 |
10億円~50億円未満 | 400万円 |
50億円~100億円 | 500万円 |
100億円以上 | 700万円 |
(2) 弁護士報酬の相場
弁護士ごとに違うので一般化するのが難しいのですが、着手金に30~50万円、またはこれ以上が必要です。
債権者の数や債務総額などによっても大きく変動します。
店舗や支店、営業所の数に応じて追加料金が発生したり、解雇していない従業員の数に応じて追加料金がかかったりするケースもあります。
弁護士に依頼する前には見積もりを出してもらい、自分に支払可能な金額かどうかを精査して下さい。
4.会社破産・法人破産は泉総合法律事務所藤沢支店へご相談下さい
会社をたたむタイミングを見誤ると、自分だけでなく多くの人の人生が狂ってしまいます。
倒産を判断するタイミングは早めに行うのが大切です。判断が遅れると会社をたたむのに必要なお金すらなくなってしまい、より傷口が深く大きく広がってしまいます。
泉総合法律事務所藤沢支店にご依頼いただければ、法人破産に詳しい弁護士が全力で対応し、最善策を立案して行動に移します。
藤沢市、茅ケ崎市、鎌倉市、東海道線・小田急江ノ島線沿線にお住まい、お勤めの方で、経営が上手くいかず、会社をたたまなければならないとお考えの場合は、是非、泉総合法律事務所藤沢支店へご相談下さい。
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