債務整理

奨学金は個人再生の対象になるのか?

奨学金は個人再生の対象になるのか?

大学(昼間部)に通う学生のうち、実に48.9%が奨学金を受給しているそうです。

奨学金には2つのタイプがあり、貸し付けてもらった奨学金を返還する必要がある「貸与型」と、返還する必要のない「給付型」に分かれます。

貸与型の奨学金には、さらに利息が付くタイプと利息の付かないタイプがありますが、要するにどちらも「借金」です。

では奨学金は金融会社からの借入れと同じように個人再生の対象になるか説明します。

1.個人再生手続きとは?

まず個人再生手続きについて簡単に確認します。

個人再生では、借金を大幅にカットして返済して、原則として3年間で分割返済する再生計画を立てます。

そして、再生計画どおりに返済できた場合には、残りの借金は免除される、という手続きです。

(1) 奨学金も個人再生の対象になる

結論から言えば、奨学金も個人再生の対象となる「債務」です。

後で述べる「非免責債権」という例外を除けば、すべての債務が個人再生の対象となります。むしろ、「すべての債務を個人再生の対象にしなければならない」と説明する方が正確でしょう。

特定の借入れ先を個人再生の手続きから外してしまうと、一部の債権者にだけ借金の全額を支払うことになり、債権者の平等を害するので許されません。

銀行に借りたお金であるか、サラ金に借りたお金であるか、あるいは奨学金であるかによって扱いに違いはありません。

(2) どんな奨学金も個人再生の対象になるのか

もっとも知名度のある奨学金といえば「日本育英会」ではないでしょうか。

ただし、日本育英会は2004年に複数の財団法人と合併して、現在は独立行政法人「日本学生支援機構」という組織に変わっています。

したがって、日本育英会という団体は、現在は存在しませんが、日本育英会から借りたお金でも、日本学生支援機構から借りたお金でも奨学金に変わりはないので、どちらも個人再生の対象となります。

日本育英会、日本学生支援機構のほかにも、都道府県や市町村、あるいは民間団体などが奨学金事業を行っている場合もあります。

どの団体の奨学金であっても、「貸与型」である限り、将来的に返済が必要な「借金」であることに変わりないので結論は同じです。すべて個人再生の対象となる債務です。

(3) 非免責債権とは?

参考までに、先ほど出てきた「非免責債権」をいくつか見ておきましょう。

個人再生や破産を申立てた場合であっても、返済を免除することができない債権(支払う側からみれば債務ですが)ですので、「非免責債権」といいます。

①悪意で加えた不法行為によって発生した損害賠償金

たとえば、詐欺や窃盗などの犯罪行為で他人に金銭的な損害を与え、その損害賠償として支払う債務のことです。

②故意または重大な過失によって身体または命を害する不法行為によって発生した損害賠償金

たとえば、ケンカで相手に大けがを負わせて損害賠償金を支払うことになったような場合がこれにあたります。

③子供の養育費や婚姻中にかかる費用

一般的に妻子は経済的に厳しい状況にあることが多いため、その保護のために非免責債権とされています。

たしかに父親が個人再生を申し立てたために、子供の養育費が5分の1にカットされてしまうのは不条理です。

(4) 借金の殆どは個人再生の対象になる

上に挙げた①~③のような債務までカットすると、逆に債権者(支払いを受ける側)の方が厳しい状況に置かれてしまいます。

そのため、個人再生によって返済額を減らしたり、破産によって返済を免除したりすることは許されず、約束どおりの支払いが求められるのです。

ただし、実際に①~③の支払い義務を負っている方は少ないはずですので、特に心当たりがなければ、現在ある借金はすべて個人再生の対象になる、と考えてよいでしょう。

(5) 税金は個人再生の対象外

ところで、滞納している税金がある場合、それも個人再生の対象にしたいところですが、そもそも税金は借金ではないので、個人再生によってカットすることはできません。

また、納税せずに放っておくと延滞税が加算されるので、早めに市町村役場で分割納付の相談をしておくことをお勧めします。

場合によっては、延滞税の免除などに応じてもらえることもあります。

2.奨学金を再生債権とする場合の問題点

奨学金の借入れは個人再生の対象となります。というよりも、個人再生の対象としなければなりません。

しかし、そのことが「保証人」という厄介な問題につながるのです。

ここからは、個人再生を申し立てる際にネックになる「保証人」について解説していきます。

(1) 奨学金の保証

奨学金を借りるのは親ではなく、進学する本人です。

ところが、奨学金を申し込むのは、高校進学あるいは大学進学の時点では、未成年で就業もしていないため、多くの奨学金では保証が必要とされます。

保証の方式として「人的保証」と「機関保証」があります。

人的保証」とは、要するに保証人や連帯保証人のことであり、「機関保証」とは、保証することを事業とする会社(保証会社)に保証してもらう方式です。

日本学生支援機構のほかにも奨学金事業を行う団体は数多く存在するため、正確な実態は分かりませんが、ほとんどの奨学金(貸与型の場合)で人的保証が採用されているのではないでしょうか。

個人再生を申し立てると、その保証人や連帯保証人まで巻き込んでしまうため、これが厄介な問題なのです。

(2) 保証人と連帯保証人はどう違う?

本論に入る前に、「保証人」と「連帯保証人」の違いについて確認しておきましょう。

どちらも、本人が支払えない場合に返済する義務を負うのですが、保証人と連来保証人では責任の重さが違います。

連帯保証人の場合は、本人とまったく同じ責任を負うため、本人に請求することなく、いきなり連帯保証人に請求することも可能です。

連帯保証人が「まずは本人に請求してください」と主張することは許されません。

これに対して、保証人の場合は「まずは本人に請求してください」という主張が可能です。

こちらはあくまで本人が支払えない場合に限って保証する、という立場だからです。

厳密にいうと「保証人」と「連帯保証人」は異なるのですが、文章がむやみに長くなるので、ここから先はまとめて「保証人」と表記します。

(3) 保証人への影響

一番の問題は、奨学金を借りた本人が個人再生を申し立てた場合、返済の請求が保証人に行ってしまうことです。

個人再生手続きは、申立人の債務をカットする効果がありますが、保証人にまでは効果が及びません。

そのため、奨学金を貸与した側(たとえば日本学生支援機構など)は、返済してもらえない分を保証人に請求することができます。しかも、通常は残額の一括返済を求めます。

(4) 具体的な事例

具体的な実例をもとに考えてみましょう。

たとえば、日本学生支援機構から貸与された奨学金が200万円、その他にクレジットカードやサラ金のローンが300万円、合計して500万円の債務があるとします。

この事例の場合だと、500万円の5分の1にあたる「100万円」を3年間で分割返済する計画を立てるのが一般的といえるでしょう。

そして、無事に3年間の分割返済が終了すれば、残り5分の4の借金については返済が免除されます。

日本学生支援機構の奨学金だけで考えると、再生計画に基づいて40万円(200万円の5分の1)を支払うと、残りの160万円は返済が免除されます。

しかし、これはあくまで個人再生を申し立てた「本人」限りの話であって、保証人は引き続き、残りの160万円を支払う義務が存続するのです。

3.保証人に内緒で個人再生を申立てできるか

まさか本当に保証人に迷惑をかける日がくるなど夢にも思わないので、「絶対に迷惑かけないから・・」と保証人をお願いするのが通常でしょう。

保証人が親や兄弟の場合でも、今さら「個人再生を申立てるので、残りの奨学金の返済は頼む」とはなかなか言いづらいものがあります。保証人が親戚や知人などの場合にはなおさらです。

しかし、残念ながら、保証人に内緒で個人再生を申し立てることはできません

なぜなら、保証人が肩代わりして返済した場合には、本人に求償する権利が発生するため、保証人は、個人再生手続きにおいて債権者として扱われるからです。

仮に内緒で申し立てても、裁判所から通知が届くので、遅かれ早かれ保証人に知られてしまいます。

(1) 保証人の分まで支払うことはできない

先ほど説明したとおり、奨学金を借りた本人が破産や個人再生を申し立てた場合、保証人は奨学金事業者から一括請求を求められます。

ただし、分割返済の交渉は可能であり、実際に、日本学生支援機構は保証人からの分割返済の申し入れに応じてくれます。

そうすると、表向きは「保証人が分割返済する」ということにして、実際は、自分が返済していけば保証人に迷惑をかけずに済むのではないか、と考える方もいるでしょう。

たしかにその通りですが、せっかく個人再生手続きを申し立てて、借金を大幅にカットしながら、裏で保証人の返済分まで抱えてしまっては意味がありません。

個人再生を申し立てると決めたからには、再生計画に基づく返済を最優先にすべきであり、基本的にはこの方法はお勧めできません。

(2) 任意整理を検討してみる

「保証人には個人再生のことを知られたくない」、「保証人には絶対に迷惑をかけられない」、という場合には、個人再生の申立ては断念せざるを得ません。

しかし、これで万策尽きるわけではありません。

まだ「任意整理」という方法が残っているので検討してみてください。

任意整理とは、債権者と直接交渉して、①将来の金利をゼロにしてもらう、②借金の返済期間を延ばしてもらう、という返済条件に変えてもらう方法です。

借金の返済条件を変更する、という点で個人再生と共通するのですが、個人再生のような裁判所の手続きではないので、一社一社の債権者と個別の交渉が必要となります。

また、個人再生の場合は、元本を大幅にカットすることが可能ですが、任意整理の場合には、金利をゼロにしてもらったり、返済期間を延ばしてもらうのが精一杯で、元本のカットはほとんど期待できません。

それでも、現状の返済条件のまま返済を続けるより、格段に返済は楽になるので、保証人に迷惑をかけられない、という場合には、任意整理を検討してみる価値があります。

4.奨学金でお困りの方は泉総合法律事務所藤沢支店へご相談下さい

「どうしても保証人や連帯保証人には迷惑をかけられない」、「絶対に知られたくない」という場合には、残念ながら個人再生は断念せざるを得ません。

だからといって、現状の返済を継続していても、そう遠くないうちに行き詰ってしまうおそれがあります。

このような場合には、「任意整理」という選択肢もあります。

個人再生や任意整理について分からないことや困っていることがあれば、まずは弁護士に相談してみましょう。

泉総合法律事務所では、相談料無料で債務整理に精通した弁護士が責任もってサポートいたします。

奨学金でお困りの方は泉総合法律事務所藤沢支店へご相談下さい。

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