交通事故

自転車による交通事故|過失割合・刑事責任はどうなる?

自転車による交通事故|過失割合・刑事責任はどうなる?

自転車は、近場への買い物、子どもの園や習い事などへの送迎、通学や通勤など、日常的に気軽に利用できる乗り物です。また、自転車は、乗るための年齢制限もないので、子供から大人まで運転することができる便利な身近な存在でもあります。

しかし、自転車は身近な存在であるがゆえに、自転車の運転に関して交通ルールが守られない状況も発生しがちで、自転車自体の構造面が破損や転倒しやすいといったこともあり、深刻な交通事故につながることも少なくありません。

実際に、自転車の交通事故の件数は、交通事故全体の件数の約2割も占めています。

ここでは、自転車の交通事故の中でも大部分を占める自転車と車(四輪車)との交通事故について、主に自転車側の過失割合はどうなるのかについて解説していきます。

1.自転車の交通事故の現状

日本損害保険協会によると、平成27年度の自転車の交通事故の件数は約9万8,700件とされています。これは、交通事故全体の件数の約2割の件数になります。

そして、これらの自転車の交通事故の死傷者数は9万7805人にものぼります。その過半数は未成年者と高齢者が占めています。

交通事故の被害者に高齢者が多いことは交通事故全体の傾向ですが、未成年者が交通事故の被害にあう可能性が高いことは、自転車の交通事故の特徴といえるでしょう。

また、自転車事故の8割以上は車との事故ですが、自転車の事故のパターンとしては、車との出合い頭による事故が半数以上を占め、続いて右折や左折する際に車に衝突するケースが多くなっています。

2.自転車の道路交通法上での扱い

(1) 自転車も「軽車両」として扱われる

道路交通法上では、自転車は、車と同じ「車両」として扱われます。

自転車は、「軽車両」に分類されますが、自転車を運転する際には、車を運転する際と同様に、車両を運転しているという意識を持って、交通ルールを守らなければなりません。

もし交通ルールを守らずに法律違反をして交通事故を起こせば、自転車の運転者には刑事上の責任が問われます。

また、事故の相手を負傷または死亡させてしまえば、民事上の損害賠償責任を負うことになります。この民事上の損害賠償責任は、未成年であっても責任を免れることはできません。

(2) 自転車事故の近年の裁判例

近年の自転車事故の裁判例をみてみます。

自転車と歩行者の事故では、11歳の児童が夜間に自転車で走行中に歩道と車道の区別のない道路を歩行していた女性と正面衝突し、女性は頭がい骨骨折などの傷害をおって意識が戻らない状態になった事案で、約9,500万円の損害賠償の支払いを命じる判決が下されました。

また、自転車同士の事故では、男子高校生が日中に自転車横断帯の手前の歩道から車道を自転車で斜めに横断したところ、対向車線を直進してきた男性会社員の自転車と衝突し、男性会社員に言語機能の喪失などの重大な障害が残った事案で、約9,250万円の損害賠償の支払いを命じる判決が下されました。
(※日本損害保険協会ホームページより)

このように、自転車事故とはいっても、車の事故と同様に重大な被害を及ぼし、未成年者であっても背負いきれないほどの民事上の責任を負わなければならないケースも実際に出てきています。

3.自転車の過失割合の考え方

自転車の交通事故の8割以上を占める車との交通事故ですが、自転車の過失割合はどのように考えるのでしょうか。

(1) 過失割合とは

過失割合とは、交通事故の当事者について、どちらがどれだけ悪いのか(過失があるのか)を示す割合です。そして、加害者側は、損害賠償額全体から被害者の過失割合に相当する金額を減額して、被害者に支払えばよいことになります。

例えば、被害者:加害者=3:7の過失割合であったとします。

すると、損害賠償額全体が1,000万円だったとすると、被害者の過失割合に相当する金額300万円(1,000万円×3/10)を損害賠償額全体から減額するので、加害者は被害者に700万円(1,000万円-300万円)を支払えばよいことになります。

(2) 自転車の過失割合

過失割合を決めるときには、道路交通法の道路を走行する優先権の有無や、交通に関して優位的な立場にあるかどうかなどといった様々な要素が考慮されます。

道路交通法上は、自転車は車両として車と同じような規制を受けることはご説明しましたが、自転車には、運転免許が不要なことや幼児でも乗れて加害性が低いといった特徴もあります。ですから、過失割合を認定する際には、自転車の地位は歩行者に近い地位にあるとされ、その過失は車よりも軽減されます。

過失割合を算出する方法は、事故のそれぞれの態様によって具体的な過失割合を示した認定基準が作成されているので、その基準をもとに、基本的な過失割合に修正要素等の過失割合を加減する方法によります。

4.自転車対車の基本的な過失割合

では、次の2つの例で、自転車が車と交通事故を起こしたときの具体的なケースにおける基本的な過失割合をみていきましょう。

(1) 自転車が赤信号を無視して走行し車と衝突したケース

例えば、信号機のある交差点で、自転車が赤信号を無視して交差点に進入してしまったところに、青信号を確認して交差点に進入してきた車と衝突してしまったというケースがあったとします。

このケースでは、赤信号を無視した自転車に全面的に過失があるように思うかもしれませんが、交差点に赤信号で進入した自転車と青信号で進入した車の基本的な過失割合は、自転車:車=80:20とされています。

なお、車やオートバイなどが赤信号を無視して交通事故になった場合には、信号無視した車に100%の過失割合があるとされます。

このケースでは、自転車は車よりも過失割合が軽減されることが顕著に分かります。

(2) 信号のない交差点で自転車と車が衝突したケース

信号機のない交差点で自転車と車が衝突したというケースの基本的過失割合は、当然信号を守ったかどうかという観点では判断できません。

ですから、自転車が走行していた道路と車が走行していた道路のどちらが優先道路であったか、または一時停止の標識などがあったかなどによって、基本的過失割合が判断されることになります。

例えば、このケースで、車が走行していた道路が優先道路であった場合には、基本的過失割合は、自転車:車=40:60とされています。

この場合にも、優先道路を走行していたわけではない自転車の方が優先道路を走行していた車よりも過失割合が低いという結果になります。

(※「知りたいことがすぐわかる交通事故の損害賠償と解決 薄金孝太郎 著 新星出版社」参考)

5.相手側の保険会社と過失割合

自転車が車と交通事故を起こしたときには、通常、過失割合については、事故の相手側の加入する保険会社が示談案で提示してくることになります。

しかし、保険会社に過失割合を決める権限があるわけではありません。ですから、提示された過失割合に納得できない場合には、無理して合意して示談を成立させる必要はありません。

過失割合をめぐっては、主張が対立しやすく争いになることが多いものです。しかし、保険会社には顧問弁護士がいることも多く、法律や交通事故に詳しくない素人ではなかなか太刀打ちできないという実情があります。

ですから、保険会社が提示する過失割合に納得できないときには、弁護士を探し相談すると良いでしょう。弁護士は、過去の似た事例の裁判例などを示し、保険会社と交渉して適正な過失割合を確保します。

例えば、損害賠償額全体が3,000万円であったとして、保険会社が提示する過失割合が自転車:車が3:7であったときには、自転車の運転者が受け取る示談金は、3,000万円から自転車の過失分900万円(3,000万円×3/10)を引いた2,100万円です。

しかし、弁護士に相談して過失割合を2:8にすることができれば、自転車の運転者が受け取る示談金は、3,000万円から自転車の過失分600万円(3,000万円×2/10)を引いた2,400万円となります。

つまり、この場合、保険会社が提示した金額よりも300万円多く手にすることができることになります。

このように過失割合は、最終的に受け取る金額に大きな差を生じさせるものなので、安易に合意することなく、弁護士に相談して適正な過失割合にすることで、大幅な示談金の増額につなげることができます。

6.まとめ

ここでは、自転車の交通事故の中でも大部分を占める自転車と車との交通事故について、主に自転車側の過失割合はどうなるのかについて解説していきました。

自転車側の過失割合は車に比べて低く抑えることができますが、相手側の保険会社はできるだけ自社の支出を減らすためにこちらの過失割合を増やそうとすることがあります。ですから、提示された過失割合に納得できない場合も多いものです。

そういった場合には、弁護士に相談して納得できる解決内容にしていくことが最善の方法といえるでしょう。

過失割合でお困りの交通事故被害者の方は、泉総合法律事務所の弁護士に是非一度ご相談ください。藤沢市、茅ケ崎市、鎌倉市、東海道線・小田急江ノ島線沿線にお住まい、お勤めの方は、泉総合法律事務所藤沢支店がアクセス便利です。

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