交通事故で弁護士に相談するときの確認・準備・持ち物
「交通事故の被害に遭ってしまい困っている。弁護士に相談したいけど、敷居が高くて気が進まない。」
「何かあらかじめチェックしておくべきことはあるのかな。準備しておいた方が良いことは何だろうか。」
このような不安を持つ方も多いと思いますが、だからと言って弁護士に相談しないのはお勧めしません。
弁護士に相談すれば、将来の見通しについてもアドバイスを受けられますか。
依頼をすれば損害賠償金を増やす、保険会社との対応を肩代わりしてもらえるといったメリットも大きいのです。
ここでは、弁護士との法律相談や弁護士へ依頼するうえで、効果をより高めるため、事前に確認すべきこと・事前に準備しておくこと・相談で持って行くと良いものについて、分かりやすく説明しましょう。
このコラムの目次
1.不満や心配、希望を書き出す
まず、あなたが弁護士に何をしてほしいのか、解決してほしいことは何なのかをはっきりとわかるようにしましょう。
交通事故に遭ってしまったことについて、あなたはどんな不満や心配、希望を持っているでしょうか。
法律相談の目的を共有することで相談はもちろん、依頼後のコミュニケーションがスムーズに進みます。そのためにも、あなたの交通事故に関する不満や心配、希望を明確にしておきましょう。
単に書き出すだけでも、あなた自身の希望を整理することができるでしょう。
[参考記事]
交通事故のよくあるトラブル!保険会社の対応・態度が悪い場合の対処
2.電話予約するときのチェックポイント
法律事務所に事前の予約なしに行っても、予約がなければ相談はできませんと言われてしまうことが多いでしょう。
弁護士としては、相談者にできうる限りの準備と、事前の情報提供をしてほしいのです。そうして初めて、30分~1時間の限られた時間で適切なアドバイスができます。
たいていの事務所では、以下のようなことを予約のときに尋ねてくるでしょう。
- 物損事故か人身事故か
物損事故、つまり、ケガをしていない場合には、相談を断られてしまう可能性があります。自賠責保険は物損を対象としていないからです。また、加害者が自賠責のみで任意保険未加入の「無保険事故」の場合も、相談を断られてしまう可能性があります。弁護士に相談・依頼するメリットは、基本的に相手方として任意保険会社がいることが前提になるからです。- 事故の内容
追突か交差点かといった事故当時の状況・お互いの動きや、バイクか自転車か歩行中か、などです。詳しくは相談で説明するとしても、簡単にでも伝えておきましょう。- ケガの内容など
医師からの診断、治療状況や入通院日数など次第で、損害賠償金額や弁護士に依頼することでどれだけ増額が期待できるか、簡単な見通しがつきます。- 後遺症に関すること
医師から後遺症が残ると言われていればお伝えください。もしすでに加害者側の任意保険会社を通じて「後遺障害等級認定」を受けていれば、どのような障害でどの等級に認定されたか、それに不満を持っているかも大切です。- 自動車の被害
ケガをしていれば、自動車の被害についても一緒に弁護士に依頼できます。修理なのかそれとも廃車か。修理金額の見通しがついていればお伝えください。- 交渉の進み具合
保険会社から示談金の提示があったのかどうかが特に大きなポイントになります。- 保険会社からの提示額
以上のことが分かれば、ある程度の見通しがつきます。
そのため、弁護士に相談・依頼するメリットがあるかどうかを、予約の段階で教えてもらえるでしょう。
3.必要な持ち物を事前に確認、用意する
さて、電話で事前に法律相談を予約したら、次は法律相談に必要な持ち物を用意しましょう。
事実関係、たとえば、事故の内容・ケガや治療についての医師の判断・加害者側の任意保険会社が主張していることなどがあやふやだと、弁護士は適切な判断ができません。
弁護士は、あいまいな事実をもとにあいまいなことは言いたくないのです。
できうる限りの情報を分かりやすく弁護士に伝え、法律相談の限られた時間の中で弁護士が適切なアドバイスをすることができるようにしておく必要があります。
とはいえ、ほとんどの場合は、詳細な資料は保険会社や病院が持っている、そもそも資料が作られていない段階で相談することになることが珍しくありません。
とりあえず、以下のものを目安に持ち物を用意しておきましょう。
(1) 保険会社関連の資料
法律相談の際に必ずご持参いただきたい資料が、加害者側の保険会社から送付されてきた「示談金の提示書面」です。これがあれば、弁護士に依頼する金銭的メリットがどれだけあるかの見通しがつきます。
それ以外の資料については、可能な範囲でお持ちください。もし整理できたら、弁護士は助かるでしょう。
(2) 依頼するために必要になるもの
依頼するつもりがなくても、法律相談をしたところできる限り早く依頼すべきことになるかもしれません。交通事故の相談や依頼は早い方がよいことが多いのです。
印鑑と身分証明証は、忘れずお持ちください。
(3) 交通事故についてのメモ
法律相談の段階では、事実関係や現状について、「ざっと」確認するだけでも十分なことが多いでしょう。
正式な資料だけでなく、依頼者の方自身で事故に関することがらを整理したメモを作成したうえでお持ちになってくださると、弁護士はスムーズに事件解決の筋道を立てることができます。
もちろん必ず必要なわけではありません。とはいえ、このようなメモを作成すると、ご自身の希望や記憶の整理にも役立ちます。
- 困っていること・希望・不安のメモ
最初に困っていることを書き出すべきとお話ししました。弁護士との相談では、予約のときに法律事務所から伝えられたポイントをもとに、書き出した内容を整理したメモを用意しておきましょう。 - 事実関係を時系列にしたメモ
だいたいで構いませんので、いつごろになにがあったか、保険会社からどのようなことを言われたか、病院でどんな検査を受けて結果はどうだったかなど、時系列表にしてまとめたメモを作って弁護士に見せましょう。 - 事故の状況を記載した図や写真
事故が発生した状況を弁護士が把握できるように、事故当時の状況をできる限り思い出して図に書き出し、補足説明を書き込んでおいたものも持っていきましょう。特に、事故現場の写真を撮影していればより具体的な事実が客観的に明らかにできます。
(4) もしあればお持ちいただきたいもの
以下の資料は、弁護士が保険会社との示談交渉、場合によっては裁判を見越して、具体的な事情やその証拠の有無を確認するためのものにもなります。
受任後に弁護士のサポートを受けたうえで収集・作成いただくものや、保険会社などに送付を依頼するものなども多いため、原則として相談の際にお持ちいただく必要はありません。
もし、手元にあればお持ちください。
<事故内容の書類>
・交通事故証明書
・事故状況報告書
・車の修理代金の明細書や領収書<ケガや後遺障害に関する書類>
・医師の診断書
・後遺障害等級の認定通知
・後遺障害診断書<損害賠償金の計算に必要な書類>
・給与明細(過去3ヶ月分)・確定申告書(前年度分)・源泉徴収票など
・治療費の明細書
4.「弁護士費用特約」について
弁護士費用の負担がほとんどなくなる「弁護士費用特約」を利用できれば、弁護士への依頼のハードルを大きく下げられます。
弁護士に依頼するときにどうしても気になるのが弁護士費用です。特に、弁護士への依頼はできる限り早い方がいいのですが、早い段階だと事件の見通しが立ちにくく、費用倒れのリスクが無視できなくなります。
弁護士費用特約に加入していれば、保険会社が弁護士費用のほとんどを支払ってくれますから、費用倒れのリスクを心配する必要がありません。
法律事務所に電話予約をする前に、弁護士費用特約を利用できるか確認しましょう。ご自身が加入している保険だけでなく、ご家族の保険やクレジットカードなどに附帯している特約を利用できることもあります。
予約の電話の際には、弁護士費用特約について尋ねられると思いますから、どの保険契約をもとに弁護士費用特約を利用できるのか、お伝えください。
なお、基本的に弁護士に依頼すれば多くの場合は保険会社が支払う金額は上がります。保険会社との対応をなくしたいという希望が強いのであれば、弁護士費用特約が無くても依頼をしてしまうことも一つの手です。
5.まとめ
法律相談では事前に様々な事情を確認し、また持ち物などの準備をすることで、限られた時間を有効活用することができます。
交通事故の損害賠償手続は、制度がかなり固まっていますから、資料が充分あり、希望が分かっていれば、弁護士としても見通しが立てやすく、保険会社との交渉などの仕事がしやすいのです。
確かに費用倒れのリスクがあることは否定しません。
しかし、弁護士費用特約があればまず費用倒れの心配は不要ですし、ここで説明した資料を持って弁護士からの質問に丁寧に答えていけば、費用倒れになる可能性がどれだけあるか、依頼するとどのようなメリットがどれだけあるか、弁護士から案内があるでしょう。
泉総合法律事務所は関東に多くの支店を展開し、これまで多くの交通事故でお困りの被害者の方々をサポートしてまいりました。是非、お気軽にお問い合わせください。
皆様のご来店をお待ちしております。
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